「なら、私たちも全力で応えないとね。どこかで合流できればいいんだけど……」
サイモンが肩をすくめる。
「そこは期待しすぎないほうがいい。内部からの反乱という形にでもなれば別だが、彼もそう簡単に自由には動けないだろう。それよりも、彼の情報を最大限に活かして作戦を成功させることが先決だ」
話し合いがひと段落すると、メンバーたちは具体的なロール分担に移る。突入班はエリカ、サイモン、そしてミア。外部から通信とセキュリティ妨害を担当するチームには複数名が配置され、情報解析やドローンの制御妨害をリアルタイムで行う。アジトに残る強硬派のメンバーは、研究所に応援が向かないよう別方向での陽動工作を仕掛ける手筈を整える。
「時間は限られている。大規模実験が行われる前に潜入しなければ、被験者や施設の状況は手のつけられないことになるかもしれないからな」
サイモンの言葉に、エリカとミアは重々しく頷く。互いに視線を交わし、勝算を探るものの、不安は拭いきれない。それでも、これが最後のチャンスだという意識が二人の決意を固めていた。
それから数時間後、深夜。研究所の周辺は夜間警備が一層強化され、フェンスの向こうに見える建物は冷たい照明に照らし出されている。ヘリパッドやドローン発着所、さらに四隅に監視塔がそびえ、まるで軍事施設のようだった。
「一気に行くぞ。ドローンがこちらを捕捉する前に外周ゲートを抜けないと」
サイモンが囁き、エリカとミアは背の低い塀の影から頷く。頭上には二機の監視ドローンが飛行ルートを巡回しており、その目をかいくぐれるタイミングはわずか。ミアが小型のハッキングツールを起動し、周波数妨害を仕掛ける。するとドローンの飛行がわずかに乱れ、ルートがずれる様子が見える。
「今っ!」

















