ゾンビ社長のリモートワーク – 第2話

第1話 第2話

タカシは、リモートワークという新たな日常に向けて、決断を下すこととなった。ゾンビ化した自分の姿を社員に見せるわけにはいかず、これまで一貫して対面での指示や管理を続けてきた彼にとって、リモートワークは未知の領域だった。だが、ゾンビとしての姿を隠しつつ社長業を続けるためには、それしか方法がない。タカシはこの挑戦を受け入れることにしたが、リモートワークの導入が自身にどんな困難をもたらすか、その時はまだ予測できていなかった。

自宅に戻ったタカシは、まずリモートワークに必要な環境を整えることに集中した。PC、カメラ、マイク、照明の配置を調整し、オンライン会議に備える。ビジネスに支障をきたさないよう、プロフェッショナルな姿勢を維持するためには、何よりも見た目を整えることが必要だと考えた。しかし、鏡に映る自分の顔を見て、彼はショックを受ける。ゾンビ化した肌は異常に青白く、目の下には深いクマができ、白目は黄色く濁っている。「これでは普通の人間には見えない」と彼は思った。

「カメラ越しに社員たちに怪しまれてはまずい…」タカシはカメラの角度を微調整し、自分の顔の一部を陰で隠すように工夫した。さらに、照明の光を弱め、顔色の異常が目立たないようにする。リモートであっても、タカシは厳格な社長としての姿勢を貫き、社員たちに異変を悟られないよう、全力を尽くすつもりだった。