その後、静かに流れる時間の中で、各部署はそれぞれの業務に取り掛かりながら、内面の変動に対する警戒と、絶え間ないデータ解析に精を出した。廊下で、ある隊員が隣の同僚に向かって小声で「昨晩のことは夢ではなかったな……自分の心臓が激しく鼓動していたのを、あの頃思い出す」と呟くと、隣の者はただ静かに頷き、気持ちを共有するように黙って微笑んだ。その光景は、まるで深海からの冷たい風が、隊員全員の心に静かに染み込むかのようであった。
また別の部屋では、中村が、個々の隊員から寄せられた体調報告を確認しながら、「皆、もしも体調に不安があるなら、遠慮なく報告してください。私たちは、一丸となってこの状況を乗り越えなければならない」と、穏やかながらも確固たるリーダーシップを示していた。
ローレンスは、データの再解析に没頭しながら、ふと声を上げた。「この波形の変動、周期が一定に近いところもある。これが意味するところは、ただの偶然ではなく、あの物品に内在する何らかの周期的な影響力が働いているのでは……」と、その言葉に、斎藤は重い表情で頷き、「今後、その周期に注目しながら、さらに緻密なデータ収集を行おう」と決意を示す。
船内は、異常な影響下で徐々に崩れてゆく内面の闇と、それに対抗しようとする隊員たちの静かな戦いが交錯する空間となり、各自の心に残る不安と覚悟が、やがて新たなデータとともに記録されていった。皆は、ただの探査任務を超え、自らの内面との戦いをも強いられていることを、痛感せずにはいられなかった。そして、斎藤、中村、ローレンスを筆頭に、探査隊全体が一丸となって、これからの未知なる波及効果に抗うべく、科学と精神の両面での対策を講じようとする決意を共有していた。
こうして、船内は、恐怖と不安の中にあっても、冷静かつ確固たる意志が育まれている雰囲気で満たされ、各自が自身の内面の影と向き合いながら、次第に迫るさらなる不穏な兆候の中で、どうにか前に進むための足固めを進めていった。
