第1話 第2話
リディアの探求
一角の町にある古びた石造りの建物。その中にはリディアの研究室があった。部屋の中は、古い楽譜や書籍で溢れかえっており、窓際には大きな書斎机が置かれている。天井からは吊り下げられた電球が、部屋の中を暖かく照らしていた。
リディアは、その書斎机に向かって座り、手に持った謎の楽譜のコピーを眺めていた。彼女の顔には深い集中の色が浮かんでいる。楽譜の中の奇妙な記号や音符は、彼女の興味を引きつけてやまない。
「この楽譜…一体どこから来たのだろう?」彼女はつぶやく。彼女は、アルトゥーロの過去の演奏や楽譜を研究してきた音楽学者で、彼の音楽に隠されたメッセージや秘密を探ることが彼女の生きがいとなっていた。
リディアは、自らの書棚からアルトゥーロの過去の楽譜を取り出し、謎の楽譜と照らし合わせる。彼女の目には、楽譜の中に隠された特定のパターンやリズムが見えてきた。「これは…アルトゥーロの過去の楽譜と同じリズム…でも、何かが違う。」
彼女は、アルトゥーロの過去の演奏を収録した蓄音機を取り出し、針を下ろす。彼の美しい旋律が部屋に響き渡る。リディアは、その音楽を聴きながら、謎の楽譜を手に取り、ページをめくる。
「これは…アルトゥーロが最後に演奏しようとしたあの曲のバリエーション…?」彼女の目に驚きの色が浮かぶ。楽譜の中には、アルトゥーロの過去の楽譜とは異なる、新たなメロディやリズムが描かれていた。
「この楽譜は、アルトゥーロが新たに作曲したもの…?それとも、彼が過去に隠していた秘密の楽譜なのか?」彼女の頭の中は、様々な疑問や仮説で満たされていった。
リディアは、夜が更けるまで、その謎の楽譜とアルトゥーロの過去の楽譜を照らし合わせ、その違いや共通点を探り続けた。彼女の研究の旅は、これからが本当のスタートとなるのだった。