夜明けのペンダント – 第4章: 第1話

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夜風が生暖かく肌を撫でる夜半の倉庫街。錆びた看板が軋む廃屋の隙間から、淡いランプの光が漏れていた。秋山玲と高橋航は、街灯が途切れる路地を慎重に進む。玲はポケットから小型のレコーダーを取り出し、押し込むように背中に装着する。

「ここだ……」

玲が指差す先には、古びた漁具倉庫の外壁に貼り付けられた不自然な足跡が続いている。錆びた扉には南京錠が二重に掛かり、そのすぐ脇にはかすかに白い粉が飛び散った跡があった。

「まさか、ここで会合を開くとは思いませんでしたが」

高橋が息を殺して囁く。玲は頷きながら、倉庫の影へと身を潜める。

壁越しに聞こえるのは、低い声で交わされる会話──幹部らしき男たちの囁きだ。玲は息を止め、録音ボタンを押す。

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