聖夜に注ぐレクイエム – 12月21日

「篠原さんは、いつも私を励ましてくれた。彼女の笑顔を見ると、どんな辛い練習も乗り越えられる気がした。でも、あの日――私は彼女を裏切ったのかもしれない。」

陸はその記述を読み進め、怜子が感じていた強い罪悪感を理解した。彼女と篠原という生徒の間に何があったのか。その真相を追うため、彼はさらに目を通した。

「火災が起きる数時間前、私は彼女と口論になった。くだらないプライドのために、私は彼女の才能を否定してしまった。それが彼女の行動に影響を与えたのなら、私は許されない存在だ。」

これが、怜子がずっと抱えてきた心の傷だったのか。火災の原因が怜子に直接関わるものだったのかどうかは不明だが、彼女自身が自分を責め続けてきたことは明白だった。

その日の午後、陸は日記をさらに読み解くため、片桐悠人を署に招いた。片桐は音楽に詳しいため、怜子の思いを共有しながら真相に迫る手助けをしてくれると考えた。

「これが早坂怜子さんの日記です。10年前の事故について詳しく書かれています。」

陸が日記を差し出すと、片桐は真剣な眼差しでページをめくり始めた。彼もまた、そこに記された内容に驚きを隠せなかった。

タイトルとURLをコピーしました