異世界農業革命 – 第3話

 一方、ガイはそんな一樹たちの取り組みを横で眺めている。スコップや鍬を握る手は慣れているが、彼の主な役割は戦士としての護衛だ。とはいえ、荒野で戦うだけでなく、こうして土を耕すことで村を守る道もあると感じ始めているらしい。ガイは口数は少ないが、実験区づくりに関しても積極的に体を動かして手伝ってくれた。

「ふん……農業なんて柄じゃないと思ってたが、こうやってやると体が温まるな。」

「怪力があると助かりますよ。岩や大きめの石をどけるのに大変だったんで、すごく助かってます。」

「へっ、まあ任せとけ。」

 ガイは照れくさそうに顔をそむけるが、満更でもなさそうだった。

 土壌改良を進めるにあたり、一樹はもう一つ重要なことを考えていた。それは農具の質だ。今のところ、村で使われているスコップや鍬は簡素な木製や鉄製のもので、形状もずいぶん歪んでいる。そのため作業効率が非常に悪く、しかもすぐに壊れてしまう。これでは畑を広げるにも限界がある。

「もう少し扱いやすい農具が作れたら、みんなの負担が減ると思います。形状を工夫すれば、土を掘り起こす力が少なくて済むはずなんです。」

 だが、この村には技術力も資源も乏しい。町へ注文すればお金がかかりすぎてしまう。そこで、一樹は村の鍛冶屋に相談してみることにした。鍛冶屋といっても、かつてここにいた職人は魔力枯渇が深刻化する前に村を離れ、今はその徒弟だった若者が細々と残っているだけという。

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