ガルドが人懐こい牙を見せる。隣ではリリィが新作の歯車ペンをくるくる回し、ティリアは地図帳を開いて最短ルートを計算していた。
「みんな、付いて来る気満々だね」
「受付係一人じゃ退屈でしょ?」とティリア。
「数字に不具合あったら工具で直すし!」とリリィ。
「祭りと聞いたら肉がある!」とガルド。
クラリス支部長は微笑みつつ、机の引き出しから分厚い帳票を取り出した。
「世界樹祭は各国支部の収支を“1本の大樹”に統合する式典。だがここ十年、黒字と赤字の枝が入り乱れ、財務システムが腐りかけている。あなたに頼れるのは数字と仲間の力よ」
封筒にはもう一枚、小さな付箋が挟まっていた。
PS.
世界樹の根元で最近“数字が迷子になる森”が発生。
詳細不明。ご注意を。
――マリエル



















