古びた手紙の秘密 – 第3話

カズマと視線が合った瞬間、アカリは一瞬息を飲む。初めて見たときと同じく、彼の瞳には何か深いものが宿っている。それは祖母に対する未練なのか、あるいはもっと別の思いかはわからない。しかし、祖母を知るためにどうしても越えなければならない壁のようにも思えた。アカリはコーヒーカップを置き、カズマに向かって小さく頭を下げる。「少し、お話しできませんか?」と尋ねると、カズマは無言でうなずいて、店の奥のテーブル席に移動した。

「実は、また手紙が見つかったんです。この写真と一緒に。祖母が、カズマさんと映っているものなんですけど……」そう言って、アカリはアルバムの該当ページと未送の手紙をそっとカズマの前に差し出す。カズマは写真を手に取り、しばし無言のまま凝視していた。そこには若き日の自分と、まだ少女のような面影を残した祖母の姿があった。「そんな写真が残っていたんだな……」しみじみとした口調でつぶやいたあと、もう一通の手紙に視線を移す。

「この手紙、書いたのはきっと祖母です。いろんな事情があって、結局出さなかったんだと思います。『あなたとともに生きていきたい』って……」アカリの言葉に、カズマは小さくうなずいた。「あの頃は、どうにもならなかった。家族のこと、時代のこと、いろんな問題が重なってしまってね。だからといって自分の無力さを言い訳にはしたくないが……結果的に、私は彼女を守ることができなかったんだ。」その声は自責の念に満ちていて、アカリは切なさと同時に、言いようのない寂しさを感じる。自分が守りたかった相手を最終的に守れなかった。その事実が、カズマという男性の人生を長い間縛りつけてきたのかもしれない。

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