「ええ。今は企業側の立場だけど、ハッカー仲間だった頃の繋がりを利用できるかもしれない。ただ、そのためには実際に接触しなくちゃならない」
「それって危険じゃない? 相手は企業の幹部かもしれないし、この新型防壁のプロジェクトにも絡んでいる可能性が高いんでしょう?」
「だからこそ。もしレオナルドがプロジェクトに深く関わってるなら、何らかの情報を握ってるはず。直接会うまでは彼が敵か味方かもわからないけど、背に腹は代えられない」
ミアは少し考え込むように沈黙したあと、意を決したように口を開く。
「わかった。エリカがそこまで言うなら、私もできる限り手伝う。でも、私たちにはバックアップとか逃走ルートが必要だと思う。もし潜入して捕まったり、逆にこちらの居所を悟られたりしたらアウトだよ」
「そうね。潜入か、もしくはレオナルドと接触する別の方法を探るか、いずれにしても安全策は考えておくわ」
モニターの端にはセキュリティログがリアルタイムに流れている。ヴァル・セキュリティの追跡プログラムらしきアクセスパターンが増加しており、アジトへの接近をうかがわせる嫌な気配が漂う。彼女たちが強行手段を取るなら、タイミングを慎重に見極める必要がある。
「二人だけで本当に大丈夫かな……」
ミアは肩を落としつつ、工具箱に散乱しているガジェットを整理し始める。カスタムしたタブレットや偽造用の端末をいつでも使えるようにしておくのが彼女の役割だ。エリカはモニター上のデータをバックアップしながら、遠い目をしてレオナルドとの過去を思い返す。



















