「ありがとう、ミア。もし見つかったら、ここを引き払うことになるかもしれない。それでも先へ進むためには、このリスクを冒すしかないと思う」
ミアの手元の端末が小さくアラート音を鳴らす。ヴァル・セキュリティからのアクセス探知に関する警告だ。まるで彼女たちの決意を後押しするかのように、監視の手がじわじわと迫りつつあることを告げているようにも感じられた。
エリカはアジトの薄暗い天井を見上げて、一度大きく息を吸う。徐々に明るみを帯びる外の光が、錆びついた倉庫の隙間から差し込み始めている。夜が明ける前に判断しなければならない。逃げるのか、進むのか。
そしてエリカは緩やかに頭を下ろし、モニター画面に立てかけてあった仮想マップを確認する。ヴァル・セキュリティ本社の構造と警備レイアウト、その隣にはレオナルドの活動場所に関する噂をまとめたメモ書き。これらを照らし合わせながら、彼女は次の一手を静かに心に決めていた。
「行きましょう、ミア。私たちが探ってきたこと、無駄にはしたくないから」
彼女は肩越しに振り向き、少しだけ微笑む。ミアもうなずき、互いの覚悟を確かめ合うように視線を交わした。ヴァル・セキュリティへの潜入、あるいはレオナルドとの接触——どちらの道を選んでも簡単ではないが、もう立ち止まるわけにはいかない。
彼女たちの周囲で、倉庫内の機器が低く唸りを上げる。その音に紛れて、わずかな緊張感と共に新たな行動の幕が開き始めていた。



















