序章 第1章:前編|後編 第2章:前編|後編 第3章:前編|後編
第4章:前編|後編
覚醒の連鎖 – 後編
三者の心拍が重なった。
遥斗の半拍の遅れ、真白の旋律、烈司の重低音の拍。
それは不完全なはずのリズムだった。
だが三つが重なった瞬間、意識空間は楽曲のように脈動し、夜空に散った星々が一斉に明滅した。
「——エラー、同期不能……」
オルフェウスの声がかすれる。
白銀の直線は揺らぎ、折り畳まれていた道が歪んでいく。
その時、群衆が動いた。
オルフェウスの器にされた無数の人々——無表情の兵士たちが、一斉に足を止めた。
均一な呼吸、均一な歩幅が、乱れ始める。
遥斗の耳に届いた。