夜の記憶 – 第1章

それから数時間、エリカは図書館で森や祠に関する情報を探し続けたが、新しい発見はなかった。結局、得られたのは伝承に関する曖昧な情報だけだった。しかし、それでも彼女の中では何かが繋がり始めている感覚があった。

図書館を出たエリカは、近くのカフェに寄ることにした。そこでノートを開き、夢の中で見た光景を改めて書き留める。祠の形、木々の間に差し込む光、そして得体の知れない恐怖。言葉で表現しようとするたびに記憶がぼやけていく感覚に苛立ちながらも、彼女は必死に手を動かした。

カフェでノートをまとめていると、ふと隣の席から聞き覚えのある地名が聞こえてきた。「月影町の森ってさ、ちょっと怖い噂があるんだよね。」「ああ、失踪事件があったとか、祠がどうとか……」

エリカはその会話に耳を傾けた。地元の若者らしい二人組の話によると、月影の森は地元では「呪われた森」として知られているらしい。その言葉を聞いたエリカは、再び心がざわつくのを感じた。

「呪われた森……そんな場所が夢に出てくるなんて……」

エリカはノートを閉じ、店を出ると、そのまま月影町へ向かうことを決意した。森を訪れることで何かがわかるかもしれない。その衝動に突き動かされるように、彼女はスマートフォンで月影町の地図を確認し、次の行動を考え始めた。

プロローグ

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