夜の記憶 – 第2章

プロローグ 第1章

エリカは、曇り空の下、月影の森の入口に立っていた。地元住民から「呪われた森」と恐れられる場所。夢に出てきた光景を確かめたいという強い衝動に突き動かされ、彼女はここにやってきた。しかし、目の前に広がる暗い森を見ていると、胸の奥から恐怖が湧き上がってくる。

「本当に入るの?」自分に問いかけるように呟いたが、答えは出ない。それでも、足は自然と森の中へと向かっていった。

森の中はひんやりとした空気に包まれていた。木々が高く生い茂り、ほとんど光が届かない。足元には苔がびっしりと広がり、湿った土の感触が靴越しに伝わってくる。夢で見た風景とあまりにもよく似ている。そのことがエリカの心臓を早鐘のように打たせた。

「ここだ……夢で見た場所に違いない……」

エリカは呟きながら慎重に進んだ。道らしきものは見当たらず、足元を確認しながら進むしかない。しばらく歩くと、ふと視界の端に何かが映った。近づいてみると、それは古びた木の祠だった。

「夢の中の……祠?」

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