「先生……これ、やっぱり警察に相談したほうがいいんじゃないですか? 一種のストーカーまがいというか、ターゲットにされてる可能性もありますし。」
「それも考えてはいる。実はね、俺の友人で元刑事のシンイチがいるんだ。今は民間の調査会社をやってるんだけど、少し話をしてみようと思う。」
「シンイチさん……そうでしたね。前にちらっと聞いたことがあります。捜査の腕前は確かな人だとか。」
「うん。ただ、あいつは警察を辞める前にいろいろあったからさ。いきなりこういう話を持っていくのもためらいがあるんだけど……」
ユキノは深刻そうに封筒の束を見つめていたが、やがて意を決したように顔を上げる。
「先生、私もできることがあれば手伝います。何かの間違いならそれでいいし、もし大事なら早く対応しないと危ないですし。」
「ありがとう。少なくとも、俺一人で抱え込むのはよくないよな。」
ユキノは集めた封筒を再びまとめ、丁寧にゴムバンドで留める。アキラはその包みを受け取り、鞄にしまいこんだ。まだ冷たい朝の光が窓から差し込み、ミーティングルームの棚に置かれた書籍や資料を照らしている。普段なら感じない空気の重さが、今日はやけにのしかかってくる。



















