夜の記憶 – 第3章

プロローグ 第1章 第2章

エリカは森で見つけたペンダントを自宅の机に置き、じっと見つめていた。金属製のロケットペンダントはどこか冷たく、鈍い輝きを放っている。中に挟まれていた写真の女性――間違いなく、失踪した椎名亜沙子だった。

「なぜ、こんな場所に……」

エリカはペンダントを持つ手に力を入れた。これが亜沙子のものだとすれば、彼女は祠の近くで何かに巻き込まれたのではないか。だが、それ以上のことは何も分からない。焦燥感に駆られたエリカは、思い切って再び亜沙子の家族や知人に連絡を取ることを決意した。

ネットで調べた結果、亜沙子の家族は失踪事件後、地元を離れていることがわかった。しかし、当時の友人関係をたどれば、何か手がかりが得られるかもしれない。エリカは記事の中で名前が挙がっていた亜沙子の高校時代の友人、田村由美という女性に連絡を取った。

待ち合わせ場所に指定されたのは、地元の喫茶店だった。店内は落ち着いた雰囲気で、昼下がりの柔らかな日差しがテーブルに差し込んでいた。エリカが店内に入ると、奥の席に座る田村由美の姿が見えた。彼女は30代半ばくらいの落ち着いた印象の女性で、穏やかな表情を浮かべていた。

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