大空の船 – 第5章 前編

「いや、ちょっとね。高空に来ると気圧が下がって、船内の循環システムや燃焼効率が狂いやすいの。実際、今までの計算より燃料の消費が早いみたい」

そばでレイナも頷きながら、「このまま飛び続けるなら、燃料補給の目処を早めに立てた方がいいですね」と真剣な表情で言う。

「わかった。じゃあ早い段階で浮遊島か、どこか資材を入手できる場所を探さないと」

アレンはそう応じ、再び甲板へ戻る。アルバトロスが新たな航路を進む上で最優先すべきは、十分な燃料と船体の安定だ。改修した船体はなんとか持ちこたえているが、限界を超える飛行は自殺行為にもなりかねない。

ところが、その日の夕刻に思わぬ情報がもたらされる。ライナスが望遠鏡を片手に東の空を観察していると、遠方の浮遊岩礁付近に小さな漁船のような飛行艇が漂っているのを見つけたのだ。どうやら故障か何かで立ち往生しているらしい。彼がすぐにアレンに報告し、ラウルとリタも呼んで相談を始める。

「助けを求めてるなら無視できないな」

アレンがそう言うと、ラウルは苦々しい表情を浮かべながらも「そうだな。あの大きさの船なら戦闘能力はなさそうだし、こちらも慎重に近づけば問題ないだろう」と同意する。リタは「下手に関わって空賊の罠だったらどうするの?」と不安を口にするが、結局アレンの意志で近づいてみることになった。

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