大空の船 – 第6章 前編

リタは顔を曇らせ、「やはり古代の秘術を巡って対立が生まれるのかな。私たちはそんなこと望んでないのに」と肩を落とす。

アレンは拳を握りしめて、「守る側と、変革を望む側。どちらにも正しさがあるんだろう。僕たちはどうすればいいんだろう……」と自問する。

そこへ、先ほど若い世代を代表していた男――ソエンと名乗る人物がやって来た。少し荒い呼吸を整えながら、「すまない。あなたたちが悪いわけじゃないのに、こんなことに」と詫びる。アレンが「僕たちも無理を言って申し訳ない」と頭を下げると、ソエンは複雑な表情で続ける。

「私たちだって、本当は外の世界を見てみたい。昔の都市の記録には、もっと広い空を飛び回り、様々な国々と交流していたって書かれている。それを取り戻すことは、もう叶わない夢なんだろうか」

ライナスが歩み寄って、「いや、夢じゃない。俺たちは空賊に襲われたり苦労もしてるが、いろんな空域を旅してきた。きっと君たちも踏み出せば、新しい未来が見えるはずだ」と力強く言う。

するとソエンは期待に目を輝かせ、「だったら、古代技術をどう活用するか、一緒に考えてくれないか。長老たちを説得するだけの『安全な利用法』を示せれば、秘術の一部を解放してくれるかもしれない」と提案する。アレンは反射的にうなずき、「もちろん。僕たちもそのために来たんだ。空賊の脅威もあるし、技術を独占する気はない。お互いに協力しよう」と握手を交わした。

そうして生まれた協力関係は、一筋縄では進まなかった。ソエンをはじめ数人の若い住民が、アレンたちに都市の各所を案内してくれるようになり、封印されている施設や装置の構造を少しずつ調べることができるようになった。しかし、長老派や保守的な住民の視線は依然として厳しく、少しでも危険な装置を動かそうとすれば、すぐに罵声を浴びせられる。

タイトルとURLをコピーしました