大空の船 – 第8章 後編

「連中の本拠地があの飛行砦だというのはほぼ確実だ。戦力を整えて、空の要所を支配する気なんだろうね……」

リタはエンジンを落としながらそう呟く。アレンは同感だ。紅蓮のガイウスがいるかどうかは確かめられなかったが、あの規模の要塞は並大抵の戦力で攻略できる相手じゃない。

「しかし、俺たちは情報を得た。あそこが連中の砦である以上、浮遊島や町を脅かす本当の拠点がどこかはっきりした。どうにか外へ漏らして備えを呼びかけなきゃ……」

アレンが唇を噛み、決意を固めるように言うと、ラウルも無言でうなずく。ライナスは顎に手を当てながら、「政府軍や各地の空賊退治部隊を動かすには、確たる証拠が要るよね。砦の正確な位置や規模を示す情報を、俺たちが持ってる。それをどう活かすか」と思案する。

「いずれにせよ、あの砦を放っておいたら大変なことになる。紅蓮のガイウスが姿を見せるなら、あそこだろう。闘うにしろ、共闘するにしろ……次の一手を誤れば、空全体が奴らのものになるかもしれない」

リタが険しい面持ちで言うのを聞き、アレンは静かにうなずく。アルバトロスが空を自由に飛べるようになったのは喜ばしいことだが、その自由を脅かす巨大な砦と空賊の存在は無視できない。こうしてアレンたちは、新たな仲間や古代都市の技術をもってしても容易ならざる強敵に直面しつつ、次なる計画を練らねばならないという現実を突きつけられる。

タイトルとURLをコピーしました