大空の船 – 最終章 後編

「お前たちがいくら足掻こうと、空は俺のものだ。死にたくなければ、引き返すがいい。もっとも、もう遅いがな……」

だが、その直後、背後の扉からリタとラウルが駆け込んできた。リタは管理パネルの端末らしきものを抱え込み、意を決して奥へ走り寄る。ラウルは銃を構えてガイウスの狙いを逸らそうとし、弾丸を撃ち込む。ガイウスは弾丸を剣で弾きながら、「小細工が通用すると思うか!」と嘲るように笑う。しかしリタが手にしている端末が、要塞内部を制御する権限を一時的に得たものであるならば、何か起こりそうだ――そうアレンは察した。

「リタ、狙ってたのはそれか!」

アレンが声を上げると、彼女は苦笑いしながら「さっき中枢の配線を操作して、要塞のメイン制御を半ば乗っ取れたの。いま終盤のコードを書き込んでるから、あと数秒稼いで!」と叫ぶ。

「何だと……!」

ガイウスが明らかに動揺を見せる。その隙を逃さず、ラウルとライナスがガイウスの左右から同時に攻撃を仕掛ける。強烈な拳とロープの絡め手で、一瞬だけガイウスの動きが止まった。

「いまだ、リタ!」

アレンが指示すると、リタは端末のスイッチを叩くように押し込む。直後、指令室全体の照明がチカチカと激しく点滅し、あちこちの機器が一斉にエラー音を発した。タレットや砲台の制御が混乱し、要塞の自動防衛システムが停止に近い状態に陥る。

「やりやがったな……!」

ガイウスが怒りに満ちた叫びを上げ、強引にライナスのロープを引きちぎり、ラウルの拳を剣で受け流す。しかし、その動きにかつてのような余裕はない。コントロールシステムを失い、自慢の要塞が混乱に陥っている状況が明らかに動揺を誘っていた。

「今こそ勝負を決める……!」

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