大空の船 – 最終章 後編

階段を駆け上がった先には、広い通路が延び、その突き当たりに大きな扉が見えた。強固な装甲扉で、要塞の司令部もしくはコントロールルームにつながっているのだろう。扉の前には屈強そうな空賊兵が数名立ちふさがり、アレンたちに向けて銃を構える。

「くそ、まともに撃ち合って時間を取られていたら、後ろからも挟み撃ちにされちまう!」

ラウルが苛立ち混じりに唸る。ライナスは素早くロープを構え、飛びかかってきた兵士の足をすくって倒し、アレンは敵の一人が放った銃弾を避けながら短剣で武器を叩き落とす。一瞬の衝突であるものの、激しい火花と金属音が狭い通路に響き渡る。

「ここは俺が押さえる! アレン、ライナス、先に行け!」

ラウルが声を張り上げる。さすが元軍人だけあって、複数の兵を相手にしても微動だにしない威圧感がある。敵の注意を自分に向けさせ、その間にアレンとライナスを奥へ通す作戦だ。アレンは咄嗟に迷ったが、ラウルの覚悟に応えるように短く感謝を伝え、ライナスとともに装甲扉へ突っ込んだ。

「扉が閉まっている……鍵か何かロックがかかってるのか?」

ライナスが焦った声を出し、アレンは扉の脇を見渡す。タッチパネルのような制御装置があり、そこにパスコードか電子キーを求める表示が出ている。

「ちょっと待て、リタが要塞システムを操作してるなら、こういうロックを解除できる可能性があるかもしれない」

アレンがそう言うや否や、小さな雑音とともにパネルの表示が切り替わった。何かのシステムが一時停止しているのか、電子ロックのランプが消えていく。

「いける!」

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