大空の船 – 最終章 後編

アレンは剣を握り直し、ガイウスの懐へ飛び込む。ラウルが反対側からガイウスの剣先を抑えこみ、ライナスが足を狙ってロープを投げる。リタも最終的な操作を続けながら、要塞の補助動力すら無効化しようとしている。

ガイウスは壮絶な力を振りかざし、一度は三人を吹き飛ばすように剣を薙ぐが、その余裕はもうない。連携を深めたクルーの攻撃が休む間もなく襲いかかり、次第に動きが鈍っていく。

「終わりだ……紅蓮のガイウス!」

アレンが必死の覚悟をこめ、剣を突き出す。鋼鉄の刃がガイウスの武器を弾き、その胸元を切り裂いた。深手ではないが、ガイウスはぐらりと膝をつき、荒い呼吸を繰り返す。彼の背負う水晶石が鈍く光り、何か力を放とうとしているかのようだが、リタが制御装置をさらに操作し、要塞内の古代技術の発動を抑制する仕掛けを施しているのだろう。もはやガイウスが逆転する術はない。

「くっ……貴様らごときに……この俺が……!」

ガイウスは悔しげなうめき声をあげるが、立ち上がることはできない。周囲の空賊兵もシステムダウンによる混乱で指令を失い、散り散りに逃げ出す者や、戦意を喪失して床に伏す者が多い。アレンたちは肩で息をしながら、静かにガイウスに視線を注いだ。

「空を力で支配しても、それは偽物の自由だ。俺たちは、ただ空を守り、みんなが自由に飛べる道を信じてるんだよ」

アレンはガイウスを見下ろしつつ、苦しげに言葉を振り絞る。ガイウスはその瞳の輝きに気圧されたのか、言葉を失い、その場でうなだれる形になった。

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