深海の叫び – 第1章:禁断の遺跡 後編

船内の他のスタッフも、各自の測定機器や記録装置に向かって作業を進め、技術担当者は慎重に温度や磁場、圧力の変化を記録していた。急激な環境変化がないか、または何か異常がないかと、皆が緊張感を持ちながらデータを分析している。

――艦載ドローンによる現場の映像が、少しずつ内部へと進むにつれて、空間の広がりが徐々に明らかになる。狭い通路から広い内部空間へと続く構造は、まるで巨大な聖堂のような厳かな佇まいを見せ、まさに古代の聖なる儀式が執り行われた場であった。

斎藤は声を上げて命じた。「ドローンの映像をもとに、この内部の構造を立体的に再現するプログラムを作動させろ。細部までデータとして残さなければならない」技術担当者は、即座に作業に取り掛かり、スクリーン上に3Dモデルが浮かび上がると、すぐにその細かい解像度を確認する。

中村は、用意されたナビゲーションマップを片手に、メンバーたちに指示を出し始めた。「私たちはこれから、潜水艦の外部から、あるいは有人ダイビングで内部に進入する方法を検討しなくてはなりません。まず、空気供給の確保と連絡体制の再確認をお願いします」彼女の声は、どこか安心感を与えると同時に、これからの険しい探索に対する冷静な覚悟を示していた。

ローレンスは、改めて壁の刻印に視線を向けながら、「この彫刻には、古代の儀式に用いられた象徴が刻まれている可能性が高い。数値化されたデータだけでは捉えきれない、感覚的な意味もあるだろう。私としては、これらの象徴を詳しく記録し、古文書と突き合わせる作業に全力を注ぐつもりだ」と熱弁をふるった。

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