深海の叫び – 第1章:禁断の遺跡 後編

数分後、潜入チームは、改めて整備された潜水服と通信機器を身につけ、扉の前で最終確認を行った。斎藤は無線越しに冷静に、「中村、君とチームの皆、無理のないように。あの扉を開ける瞬間、何かが変わるかもしれない。データは絶対に後戻りできない、記録として残さなければならないことを忘れるな」と、厳しくも温かい励ましを送った。

中村は、少し力強い口調で「分かりました。私たちは、全力で内部の情報を収集します。必ず全ての証拠を記録し、後で皆で解析しましょう」と応え、緊張と期待が入り混じる表情を浮かべながら、扉に向かって一歩を踏み出す準備を整えた。

艦載ドローンの映像は、扉の細部を捉え続け、古の刻印が刻み込まれた石肌が、まるで語りかけるかのように映し出される。船内では、各担当者がその映像に集中し、次々とデータを集積していく音が絶え間なく鳴り響いていた。

ローレンスは低く呟いた。「この扉の向こうには、我々が未だ知らぬ秘密が眠っているはずだ。この先に足を踏み入れることは、人類が長い間封印してきた真実に触れる瞬間かもしれない」

斎藤は、静かな決意と共に、数値の変動を一瞥しながら、「全員、内部での状況を随時報告し、この禁断の遺跡が持つ全ての謎を明らかにする。私たちは、ただの探査隊ではなく、歴史の扉を開く先駆者なのだ」と宣言し、部屋全体に響くように語った。

その瞬間、ブリッジに一層の緊張が走り、全員が新たな探査の一歩に賭ける決意を再確認した。中村たち潜入チームが慎重に扉に近づき、まずはその取っ手に手を伸ばす動作が、確固たる歴史と伝説を感じさせる儀式の始まりのように映った。

部屋内には、無数のデータと、壁面に刻まれた謎めいた彫刻が示す未知の世界の断片。斎藤、中村、ローレンス、そしてその背後に控える仲間たちは、これから内部への一歩を踏み出す決意と共に、刻まれた古の記号が語る秘密に、静かなる期待と不安を抱きながら、次なる歴史の一頁が今まさに動き出す瞬間を迎えていた。

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