深海の叫び – 第1章:禁断の遺跡 後編

ローレンスは、デジタルズームで紋章の細部を解析しながら、興奮混じりに「この文様の起源は、既存のどんな文明記録にも当てはまらない。これは、一種の神話体系を示唆しているに違いありません。古文書に記される『封印の象徴』と呼ばれるものかもしれない…」と、さらなる議論を展開した。その言葉に、斎藤は慎重に耳を傾けつつも、「ローレンス、私たちはまずは科学的な証拠を集めることに専念するべきだ。あくまで仮説として、その可能性を検証しよう」と、理論と現実の狭間でバランスを保とうとした。

艦載ドローンが扉にゆっくりと接近し、その前に留まると、照明が一瞬、輝きを増して、扉の表面の彫刻がより明瞭に浮かび上がった。全員の視線が、その古の証しに釘付けになり、無言のうちに次の行動が決定されたかのような空気が漂った。

斎藤は、装備と通信の最終確認を終えた後、重い口調で指示を出した。「今から、一部の隊員がこの扉の前に派遣され、内部の様子を初期調査する。中村さん、あなたには潜入チームの先頭を任せます。ローレンス、君もその解析に協力してくれ。技術担当は、引き続き映像とセンサーデータの収集に努め、異常があればすぐに連絡するように」

中村は、しっかりとした声で応じながら、用意された潜水装置のチェックリストを手に持ち、「了解です。皆さん、互いに連絡を取り合い、慎重に行動してください。もし何か問題が発生したら、即刻撤退をお願いします」と、厳格ながらも温かみのある口調で伝えた。

ローレンスは、目に宿る狂信的な輝きを隠さずに、「この内部に足を踏み入れることは、私たちにとって、過去の神々の啓示に近づく絶好の機会となるでしょう。恐怖もあるでしょうが、その先に隠された知識は、きっと我々を新たな境地へと導くはずです」と高らかに語り、潜入への期待感と不安の両面を露わにした。

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