深海の叫び – 第1章:禁断の遺跡 後編

しばらくして、艦載ドローンが更に奥へと進むと、突如として建物内部の一角で、巨大な石の扉が姿を現した。扉は重々しく、表面には多様な刻印が施され、中央には大きく隆起した紋章が刻まれていた。その紋章は、一見、宇宙の摂理を象徴するような、非常に複雑で荘厳な形状をしており、見る者に神秘的な畏怖を抱かせた。

斎藤は、チームの意見を求めるように口を開いた。「この扉は、我々がこれから踏み込むべき次の空間への入口だと考えます。皆さん、ここに進む前に、十分な安全対策と、内部での連絡体制を確認しておいてください」

中村は、頷きながら「了解しました。潜入隊は、互いに通信を絶やさず、定期的に状況を報告するように。万が一、異常が発生した場合は、即座に撤退できる準備を整えています」と応じた。その声には、これまでの現場で培った冷静さと、仲間たちを守り抜く強い意志が滲んでいた。

ローレンスは、扉に刻まれた紋章を指さしてさらに言葉を続けた。「この模様は、単なる装飾ではなく、封印や儀式の象徴である可能性が非常に高い。もしこれが古代の宗教儀式に関連するものだとすれば、内部にはその痕跡が豊富に残されているはずです。これは、我々が解き明かさなければならない重大な謎である」

その頃、技術担当者から緊急の報告が入った。「新たなセンサーデータによりますと、扉の周辺では磁場の変動が急激に大きくなっています。この変動は、他のエリアでは見られないものであり、何か強力なエネルギーが作用している可能性があります」

斎藤はその報告に、深く頷きながら「興味深い。ここでの変動が何を示すのか、さらに詳しいデータの収集をお願いします。私たちは、この扉を開ける前に、あらゆる可能性を検討する必要がある」と指示を出した。

中村は、部屋の隅で一瞬、静かに深呼吸をした後、改めて確認のために他の隊員に向かって小声で話しかけた。「皆さん、私たちはただ探索するだけではなく、この先にある未知の危険にも備えなければなりません。装備のチェックと、予備の通信手段の確保を、再度徹底してください」

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