和菓子の灯がともるとき – 12月27日 後編

その夜、自室に戻った由香はベッドに腰かけ、今日一日の出来事を振り返る。父の衰えた姿を見るのは辛かったが、それでも久しぶりに会えた喜びは大きい。亮との再会は大きなサプライズだった。もし父が本当に店を再開したら、亮が力になってくれるかもしれない。小さな希望を胸に、しかし同時に「都会の会社にも戻らなければならないし、そう遠くないうちに休暇は終わる」という現実もある。どう折り合いをつければいいのか、簡単には答えが見つからない。

両親の将来だけでなく、由香自身の将来とも繋がる問題。次第に眠気が増すなか、由香は「とにかくお父さんを元気にすることが先決。退院してから一緒に考えればいい」と自分に言い聞かせる。病院での父の微笑み、亮の提案、そして母の不安そうな横顔――それらが脳裏をよぎり、由香は目を閉じた。止まっていた時間が少しずつ動き出しているような予感とともに、彼女は新しい朝を迎えようとしていた。

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