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聖夜に注ぐレクイエム
聖夜を迎えた12月25日の夜、廃教会には冷たい風が吹き抜け、鐘の音が遠くに響いていた。陸と片桐、そして救出された怜子が教会の中に佇んでいた。だが、まだ事件は終わっていなかった。先ほど逮捕した男が告げた「まだ終わっていない」という言葉が二人の胸に重くのしかかっていた。
「怜子さん、体は大丈夫ですか?」
片桐が心配そうに声をかけると、怜子は小さく頷き、震える声で答えた。
「ありがとうございます……でも、あの人が言っていたこと、本当に終わっていないのかもしれません。」
「何か心当たりが?」
陸がそう尋ねると、怜子は少し考え込んだ後、ポツリと話し始めた。
「あの人が狙っていたのは、私の演奏そのものだったんです。『レクイエム』は、私が真実を隠すために書いた曲ではなく、むしろその真実を告げるためのものなんです。」