「そうですか……少し安心しました。実は私、村長代理の立場にあるのに、今まで手立てを見つけられなかったんです。俺のせいで、みんなが苦しんでいると思うと……」
エリアスは自分の無力さを恨むように拳を握りしめる。それを見た一樹は、彼に手を置いて静かに言葉をかける。
「一人で抱え込まないでください。俺も協力します。農業のことなら、多少なりとも役に立てると思いますから。」
その言葉に、エリアスの表情がわずかに和らいだ。彼は深々と頭を下げる。
そのやり取りを見計らったように、家の奥から一人の少女が姿を現した。腰まで届く銀色の髪に、透き通るような青い瞳を持つ。だが、その瞳の奥にはどこか焦りのようなものが見え隠れしていた。
「えっと……エリアスさんがここにいるって聞いて。それと、あなたが新しく来た人……大河一樹さんですよね？」
「そうだよ。君は？」
「私はシルヴィア。見習いの魔法使いです。今は、この村で土地の魔力回復について研究しているんですけど……うまくいかなくて。」
シルヴィアは恥ずかしそうに目を伏せると、そっと胸のペンダントに手を当てた。それは石がはめ込まれた小ぶりなペンダントで、魔力の反応を感知するための道具らしい。
