異世界農業革命 – 第2話

「魔力回復……土壌を浄化する魔法とか、そういったことを試しているの?」

 一樹が興味を示して尋ねると、シルヴィアは小さく頷く。

「ええ。村の土地に魔法陣を描いて、定期的にエネルギーを送り込んだり、浄化の儀式をしてみたり。でも、魔力の枯渇が想像以上に進んでいて、十分な効果が出せないんです。私の腕が未熟なのもあるんですけど……。」

「なるほど。土を蘇らせるためのアプローチとしては、すごく面白そうだね。ただ、俺の世界には魔力なんてものはなかったから、そこは協力できるかもしれない。俺が知っている土壌改良のやり方と、君の魔法を組み合わせられたらどうなるか……試してみる価値はありそうだ。」

 一樹の言葉に、シルヴィアの顔がぱっと明るくなる。その横でエリアスも嬉しそうに頷き、「これで何か突破口が見つかるかもしれない」と期待を口にする。二人とも、ようやく光が見えたという思いでいっぱいのようだった。

 そこへ、外から荒々しい足音が近づいてきた。派手に開いた扉の向こうに立っていたのは、大柄な男。背中には大きな剣を背負い、頬には古傷の跡が走っている。腕も太く、全身から“戦士”という雰囲気がにじみ出ていた。

「エリアス、ちょっと荷物を――ん? おまえは見ない顔だな。」

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