エリナは、杖をさらに高く掲げ、補助魔法を強化し、ミカエルもまた、敵の動きを封じる策を講じた。組織のエージェントたちは、陽斗の新たな攻撃に押され、次々と退散していった。しかし、その戦いの中で、仲間たちの間には一時的な亀裂が走ったかのように感じられた。エリナは、戦闘終了後、険しい表情で陽斗に問いただす。
「どうして、あんなに急に力が目覚めたの？ あれは、私たちの予想を遥かに超えるものだったわ」
陽斗は、まだ痛みをこらえながらも、静かに答えた。
「俺にも分からない。でも、これまでの戦いで封じ込めていた何かが、今、解放されたのかもしれない。恐ろしいが、これこそが俺の本当の使命を果たすための一歩だ」
ミカエルは、その様子を見守りながら、重い口調で付け加えた。
「仲間たちよ、我々はただ戦うだけではない。互いの信頼と絆を再確認し、この組織の真の目的を暴くためにも、力を合わせねばならん」
その言葉に、ロレンスもエリナも、深い決意を新たにした。暗躍する組織の狙いは、ただ単に混乱をもたらすことだけではなく、王国全体を裏から操る巨大な策略であることが、徐々に明らかになりつつあった。仲間たちは、戦場での一触即発の状況の中でも、互いの信頼を取り戻し、再び一つの絆として固まるために、激しい戦闘を乗り越えた。
戦いの余韻が静まった頃、陽斗は静かに空を見上げながら、次なる試練に備える覚悟を胸に刻んだ。組織の狙いと、自らの新たな覚醒――全てが、これからの冒険の行く末に大きな影響を及ぼすだろうという確信を持ちながら、彼らは再び歩みを進めるため、傷ついた体を引きずるようにして、一歩一歩、未来へと踏み出していった。
