ニューロネットの夜明け – 第1章:闇のコード|後編

「エリカ、大丈夫?」

ミアが心配そうに声をかける。エリカはうっすらと笑って肩をすくめると、自分を奮い立たせるように言った。

「平気。ちょっと疲れが出ただけ。ねぇ、ミア、私たち二人じゃやっぱり限界があると思う? この先、もっと強力なバックアップや情報網が必要になる気がしてならないの」

「そうかもね。ヴァル・セキュリティに単独で挑むのは危険だし、外部の協力者がいれば、もう少し動きやすくなるかもしれない」

エリカは再度モニターを見つめ、次のステップを頭の中で組み立て始める。トラウマを抱えたまま、それでも進まなければならないという使命感が、彼女の胸の鼓動を早めていた。自らの恐怖を超えて社会の闇に切り込む覚悟はある。しかし同時に、幼い頃に脳内チップの暴走を経験した自分だからこそ、怖れを引きずっているのも事実だ。

ミアがタブレットを抱えたまま、エリカに向き直る。

「もう一度ヴァルの内部システムにアクセスするなら、かなりリスキーになるよ。見つかったら、最悪の場合、私たちの存在そのものが消されかねない。どうする?」

「やるしかないでしょ。私が知る限り、ここまで核心部分に近い情報を掴んだ人はいない。事実を暴かなきゃ、誰かがまた傷つくかもしれない」

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