ニューロネットの夜明け – 第4章:地下組織との接触|前編

「君も知ってるだろ? 意識を共有するなんてことが現実に行われれば、個人の自由なんてすぐに奪われる」

サイモンは続ける。「しかも、それを推し進める連中は、人類のためだとか世界平和のためだとかもっともらしいことを言うだろうね。でも実際は、自分たちの権力を永続化したいに過ぎない」

エリカはストレージの画面から目を離さず、小さくうなずいた。自分が集めた情報とサイモンの証拠が合致している以上、彼の言うことを完全に無視はできない。が、彼らの過激な手法が気になるのも事実だ。

「あなたたちはこの情報を世間に公表したいんでしょう? でもどうやって?」

「それは我々の専門分野だ。メディアやSNS、匿名のデータ拡散ルートを使って、一気に暴露する。ただ、タイミングが難しいんだ。下手に小出しにすれば、すぐに揉み消される」

ミアが不安そうに口を開く。

「でも、公表するだけじゃ彼らを止めるには足りないんじゃ……。すぐにフェイクニュース扱いされて、逆に私たちが逮捕されるかもしれない」

サイモンは視線をミアに向け、口元に皮肉めいた笑みを浮かべる。

「だからこそ、俺たちはもっとダイレクトな行動も辞さない。サーバーを破壊し、実験施設を機能停止に追い込む。そうでもしないと奴らの流れは止められないと思ってる」

エリカの胸に警鐘が鳴る。彼らの行動は確かに一石を投じるかもしれないが、大規模な混乱や犠牲を伴う恐れがある。

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