ニューロネットの夜明け – 第4章:地下組織との接触|前編

数分後、ミアの端末に暗号が解かれたファイルが表示される。それはエリカ宛のメッセージらしく、短い文章で「あなたが探っている“プロジェクト・シナプス”について話がある。協力したいなら返事をくれ」とあった。差出人はサイモンという名を名乗っているが、詳細は不明。エリカは眉根を寄せながら画面を見つめていた。

「見ず知らずの相手からの呼びかけにのるのは危険すぎるんじゃ……」

ミアが警戒の色を浮かべると、エリカも静かにうなずいた。

「そうね。でも、このタイミングで“プロジェクト・シナプス”に言及してくるなんて、ただの偶然とは思えない。私たちが掴んでいる情報を知ってるってことかしら」

迷いながらもエリカは、ネットワークを何重にも偽装しながら返信メッセージを送る。文面は短く、「何を知っているのか聞かせてほしい」という問いに留めた。危険を承知でなければ、この先の手がかりを得られそうにもないからだ。

そんなやりとりを始めてから半日ほど経った頃、倉庫のアジトのインターホンが不意に鳴る。電子音が鳴り響いた瞬間、エリカとミアは目を見合わせ、警戒態勢をとる。普段この場所を訪れる者などほとんどいない。

「ミア、後ろで待機して」

エリカはそう言い、倉庫入り口のモニターカメラを確認する。そこにはフードを深くかぶった男の姿が映っていた。

「エリカさんですか? サイモンと呼ばれている者です。あなたに話がある」

電子越しに聞こえる声は落ち着いていて、どこか余裕すら感じさせる。エリカは一瞬迷ったが、呼吸を整え、ドアを遠隔で開けることにした。

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