ニューロネットの夜明け – 第4章:地下組織との接触|前編

「そんな強行策、被験者や関係ない人たちを巻き込まないかしら? 意識共有の実験は危険だけど、それを暴力で止めるのは……」

サイモンは嘆息するように一度うつむき、顔を上げるときに目線を鋭くした。

「人間の自由を守るためには、時に大きな犠牲が必要になるんだ。もちろん、できるだけソフトに終わらせたいが、事態はそう甘くない」

その言葉に、エリカは胸の奥がざわつく。自分がやろうとしていることは、まず真実を明らかにし、世論を動かして計画を阻止する道だ。しかしサイモンたちインフォリベレーションの一部は、すでに“破壊”を視野に入れている。

「君には協力してほしい。君のハッキング技術があれば、彼らの中枢を突き止める手がかりになる。力を貸してくれたら、我々も手を貸す。お互いにウィンウィンだろう?」

サイモンが手を差し出すように言うが、エリカはすぐに返事ができない。

そんなエリカの様子を見て、サイモンはファイルを操作し、さらに幾つかの映像資料を示す。そこには研究所の内部らしき映像があり、被験者が錯乱状態に陥るショッキングなシーンが記録されていた。

「これは我々が潜入して撮影したものだ。君が調べているのと同じ闇の実態だよ。これを世に出すだけでも衝撃は大きい。だが、相手も黙ってはいない。世論なんてすぐに操作されるからね。だからこそ、一発で権力基盤を揺さぶらなきゃならない」

エリカは思わず映像から目を背ける。トラウマを刺激されそうな恐怖感が膨れ上がったが、その一方で被験者を救うために何とかしなければならないという責任感も湧き上がる。

「確かに、あなたたちの協力なしでは、この計画を止められないかもしれない。でも……」

言葉を詰まらせるエリカの肩に、ミアがそっと手を置いた。

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