夜の記憶 – 第2章

老人はため息をつくと、少しトーンを落として話し始めた。「10年前、ここで行方不明になった娘がいるのは知っているな?」

「はい……椎名亜沙子さんですよね。」

「そうだ。あの娘も、あの祠に近づいて姿を消した。あれ以来、この森には何かが住み着いている。誰も近づきたがらん。」

エリカはその話に背筋が凍るような感覚を覚えた。しかし、同時に疑問も湧いてきた。「亜沙子さんが祠に近づいた理由を知っていますか?」

老人は一瞬黙り込んだ後、「知らん。ただ、あの祠には何かがある。それだけは間違いない」とだけ答えた。

エリカは老人の話を聞きながら、ますます真実に近づきたいという思いを強くした。何かがある――その何かを突き止めなければ、この夢と現実の謎は解けないだろう。

老人に礼を言い、エリカは森を出ることにした。ペンダントという手がかりを手に入れたことで、次にすべきことが見えてきた気がした。亜沙子が失踪する直前、どんなことを調べていたのか。そして、彼女をこの森に導いたものは何だったのか――。

プロローグ 第1章

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