夜の記憶 – 第4章

その答えには明らかに歯切れの悪さがあり、エリカはさらに問い詰めようとしたが、真壁の周囲に関係者が集まり始めたため、会話を切り上げざるを得なかった。

その夜、エリカは図書館で撮影してきた古い地図を広げ、真壁が言及した「計画中止」の理由を探ろうとしていた。地図には月影の森と祠の位置が明確に記されており、さらに森の奥には「調査未完了区域」という赤い印がつけられていた。

「この赤い印……ここが計画の中心だったのかもしれない。」

エリカはそう呟きながら、地図の写真を拡大して見た。その場所には「石碑」の文字が小さく記されていた。伝承に登場する祠の守りとしての石碑――そこに何かが隠されている可能性がある。

ちょうどそのとき、スマートフォンが振動した。画面には「非通知」の文字が表示されている。エリカは少し躊躇しながらも通話ボタンを押した。

「もしもし?」

電話の向こうからは、低く冷たい声が聞こえてきた。「これ以上、余計なことを調べるな。さもないと後悔することになるぞ。」

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