赤い封筒 – 第5話

「とにかく、これ以上被害者が出ないように行動しよう。警察は当てにならないかもしれないが、俺たち三人だけでも、少しでも真相に近づくためにできることをやるしかない。」

「そうですね。私も出版社の資料室をもう一度探ってみます。大学時代の情報も探せるかもしれません。」

「俺は引き続き、警察や関係者の動きを探る。おまえは不用意に一人で行動するなよ。」

 三人はそう確認し合い、静かに席を立つ。雨はますます勢いを増していた。店を出ると、冷たい水滴が肌を打ち、少しばかり現実感を取り戻す。けれど、アキラの心はどこか別の次元に引きずり込まれるような感覚を覚えていた。ミツルの姿が、まだどこかで詩を綴りながら暗躍している――その可能性は日に日に濃厚になり、自分の命にまつわる危険性もはっきりと形を取り始めていた。

 それでも、アキラは決定的な救いを求めようとはしていない。罪悪感が足かせになり、まるで罰を受けることを受容しているかのような自分に気づいてしまうからだ。雨音がまるで警鐘のように耳の奥で鳴り響く中、アキラは無意識に拳を握り締めたまま、心の底に沈む恐れと向き合い続けていた。

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