赤い封筒 – 第10話

 翌日、アキラはシンイチと落ち合い、最低限の作戦を立てることにした。人気の少ない喫茶店の奥のテーブルで、地図を広げながら小声で話し合う二人。ユキノは少し離れた席に座り、気が気でない様子だ。

「おまえが外に出るときは、俺や仲間が必ず周囲を見張る。距離を置いて追跡する形だが、もし何かあればすぐに割り込む。いいな?」

「わかった。ただ、あまり露骨に警戒してる様子を見せると、相手も気づくだろう。自然に行動しなきゃ、逆効果になりかねない。」

「その通りだ。俺たちはプロじゃないが、尾行と張り込みに関してはそこそこ経験がある。警察より動きやすい分だけ融通が利く。……だが、念を押すが、本当に危ないと判断したら即座にこの作戦は中止させてもらうからな。」

「承知してる。シンイチ、おまえもあまり無理をするなよ。あいつがどんな手段で近づいてくるか、皆目わからないんだから……」

 アキラは、不安をかき消そうとするかのようにコーヒーを一気に飲み干した。おそらく次に外へ出たとき、自分がどこかのタイミングで狙われるのは間違いない。赤い封筒の差出人は、いつでもこちらを見張っているに違いないのだから。

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