赤い封筒 – 第10話

 その後、アキラは編集部に戻るや否や、ユキノに自分の考えを打ち明けた。ところが、彼女は顔を青ざめながら激しく反対する。

「先生、それは危険すぎます! いくらなんでも身を呈しておびき出すなんて……万が一のことがあったらどうするんですか!」

「わかってる。でも、これは俺たちが選べる最善の方法かもしれない。逆に言えば、これ以上逃げ回るだけじゃ何も進まない。ユキノを危険に巻き込みたくないし……頼む、わかってくれ。」

「そんな……先生がいなくなったら、私……」

 ユキノの瞳に涙が滲むのを見て、アキラも胸を痛める。しかし、それでもこのまま匿名の恐怖に怯え続けるだけの時間を過ごすことは、自分も周りも壊してしまう気がした。いずれにせよ赤い封筒の脅迫は明らかにエスカレートしており、これをただの嫌がらせだと言って笑い飛ばす段階はとっくに過ぎている。

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