赤い封筒 – 第12話

「離せ、俺はミツルの……! あいつのために……!」

 断末魔のような叫びを上げながら、男は必死に暴れるが、警官らが次々と腕を押さえ込み、カッターナイフを奪い取る。床に伏せられた男の顔は興奮で赤く染まり、何度もわめき散らす。アキラはその姿を見つめながら、安堵と共に苦い思いが胸を締めつけるのを感じていた。

「おまえが……赤い封筒を送っていたんだな。ミツルは……本当にもうこの世にいないのか……」

 かすれ声で尋ねても、男はもはや返答する気力を失っているのか、わけのわからないうめき声を発するだけだった。警官の一人が彼の身元を確認しようと持ち物を漁り始める。アキラは思わず目をそらし、床にへたり込むように腰を下ろした。

 シンイチが駆け寄ってアキラの肩を支える。

「大丈夫か? けがはないか?」

「……ああ、大丈夫。助かったよ。正直、死ぬかと思った……」

 唇が震え、呼吸が整わない。周囲には刑事たちがぞろぞろと部屋に入ってきて、凶器や証拠物を回収し始める。一方、取り押さえられた男は手錠をかけられ、なおも何かを叫んでいる。

「こいつは、ミツルの関係者か……?」

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