「離せ、俺はミツルの……! あいつのために……!」
断末魔のような叫びを上げながら、男は必死に暴れるが、警官らが次々と腕を押さえ込み、カッターナイフを奪い取る。床に伏せられた男の顔は興奮で赤く染まり、何度もわめき散らす。アキラはその姿を見つめながら、安堵と共に苦い思いが胸を締めつけるのを感じていた。
「おまえが……赤い封筒を送っていたんだな。ミツルは……本当にもうこの世にいないのか……」
かすれ声で尋ねても、男はもはや返答する気力を失っているのか、わけのわからないうめき声を発するだけだった。警官の一人が彼の身元を確認しようと持ち物を漁り始める。アキラは思わず目をそらし、床にへたり込むように腰を下ろした。
シンイチが駆け寄ってアキラの肩を支える。
「大丈夫か? けがはないか?」
「……ああ、大丈夫。助かったよ。正直、死ぬかと思った……」
唇が震え、呼吸が整わない。周囲には刑事たちがぞろぞろと部屋に入ってきて、凶器や証拠物を回収し始める。一方、取り押さえられた男は手錠をかけられ、なおも何かを叫んでいる。
「こいつは、ミツルの関係者か……?」




















