星の涙 – 第6話TwitterFacebookはてブLINEコピー2025/05/09紗枝は丁寧にそのページを閉じ、スケッチブックを抱えながら言った。「これがあれば、どこへ行ってもあなた自身を見失わない。心の羅針盤になるはずよ」夜風に誘われるように、三人は宿の軒先へ出た。軒灯の柔らかな光が、アトリエの木枠に優しい陰影を落としている。「ありがとう、紗枝さん」桜は深々と礼を述べ、紗枝はくすりと笑った。陽斗も固い握手を交わし、二人は新たな羅針盤を胸に、行路を照らす月明かりの方向へ歩き出した。夜空には満天の星が瞬き、星の涙を導く道標となるかのように輝いていた。第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話前へ 123