大空の船 – 第6章 後編

「空賊はどんどん勢力を拡大しているそうです。もしこの都市が見つかったら、いずれ侵略される恐れだってある。今のまま閉じこもっているだけでは防ぎようがありません」

すると、長老派の老人が厳しい声で言い放つ。

「ではお前たち若造は、秘術を解放すればそれを防げるとでも? 大いなる力は、常に大きな災いを呼び寄せるものだ」

そのとき、リタが膝を進め、「私たちも実際に紅蓮のガイウスという恐ろしい空賊団を目の当たりにしました。あれほどの火力を持つ連中が、この都市の秘術に興味を持たないはずがない。だからこそ、むしろ私たちと協力して安全に運用する方法を探してほしいんです」と訴える。

会合は平行線かと思われたが、若い住民たちが次々と声を上げ、都市が抱える限界と外部との協力の必要性を主張しはじめた。「このまま廃れていくより、外の世界と共に可能性を切り拓くべきだ」という意見が次第に勢いを増す。長老派は唇を噛み、苦々しい表情を浮かべながら沈黙していた。

しばしの沈黙の後、長老派の一人が「ならば、ある試練を乗り越えてみせよ」と静かに言い放つ。周囲がざわつく中、その老人は険しい目つきのまま語る。

「この都市の“封じられた中枢”には、古代の力を制御するための鍵となる装置がある。だがそこは危険が多く、我々でさえ手を出せずにきた場所だ。もし、お前たちがそこに潜り、本当に力を正しく扱えるか見極めさせてもらおう」

アレンたちクルーとソエンをはじめとする若者たちは顔を見合わせる。危険な場所だというのは容易に想像できるが、都市の未来を切り拓くための試練なら、躊躇する余地はない。

「わかりました。受けて立ちます。その装置を動かさずとも、少なくとも安全に管理できるかどうか調べてきます」

アレンが決意を示すと、長老派はなおも険しい顔だが、何も言わず深くうなずいた。こうして試練の場への挑戦が、急速に具体化していく。

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