大空の船 – 第6章 後編

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石造りの広間に灯る灯火が揺れ、古代都市の住民たちとアレンたちの会合が始まっていた。対立と不安に包まれた都市の空気を変えたいという想いから、若者派のソエンが「改めて話し合おう」と声を上げ、長老派も渋々それに応じたのだ。

「私たちは、外の世界の力を借りずともこの都市を守ってきた。それは変わらぬ誇りだ」

会合の中央で、頑なな面差しの長老派代表が低く語り始める。周囲には十数名の住民が円を描くように腰を下ろしており、反対側にはソエンや若者たち、そしてアレンたちが控えていた。

「ですが、都市は徐々に機能不全を起こしています。封印されている装置のいくつかは老朽化が進み、いずれ浮力すら維持できなくなるかもしれない」

ソエンが真剣な眼差しで訴えると、長老派は苦い顔をして「それを外の者が救うとでも? かつて古代の技術が争いを生んだ歴史を忘れたわけではあるまい」ときっぱり返す。

アレンは静かに息を整え、意を決して口を開いた。

「僕たちが求めているのは、この都市の大切な遺産を勝手に持ち去ることでも、兵器として利用することでもありません。現在、世界には空賊の脅威が広がり、人々が安心して空を飛べない状況にある。僕たちは空の平和と、この都市を守る術を学びたいんです」

その言葉に、長老派の表情は揺れはしないが、周囲の住民の中からは戸惑いの声が漏れた。なかには「空賊など滅多にここまで来ない。危険を呼び込む必要はない」という意見も聞こえる。しかしソエンたちは食い下がる。

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