大空の船 – 第6章 後編

やがて閃光がゆっくりと収まると、核心の結晶部分が穏やかな光を放ちながら脈打つように動き始める。アレンは汗ばんだ手のひらを拭い、「成功……なのかな。都市の浮力が安定すれば、表層の設備も動き出すかもしれない」と安堵した。リタは肩を震わせながら「こ、これなら都市も維持できるし、アルバトロスのエンジン改良にも応用できそう!」と声を上ずらせる。

長老は深い溜息をつき、「まったく……外の者にここまで助けられるとはな。私も何十年と恐れるばかりだったが、実際に動かしてみれば、まだ制御できる術はあったのだな」とつぶやく。ソエンは目を潤ませながら「これで本当に都市が救われるんですね。よかった……」と口ごもる。

都市を揺るがしていた対立は、これによってすべて解決するわけではない。しかし、外と内が力を合わせれば秘術を正しく扱えることが証明されたのは、住民たちに大きな衝撃を与えた。クルーたちと都市の住民の間には、ぎこちないながらも確かな和解と、共同作業への希望が芽生え始める。

その夜、薄暗い地下空間を後にした一行を、長老派や若者たちが出迎え、無事を祝福してくれた。長老は重苦しい表情を緩め、「感謝する。お前たちがいなければ、我々は何も手を打たずに滅びを迎えていたかもしれない」と深々と頭を下げる。ソエンや若者たちも、同じく目を潤ませながら互いの肩を叩き合う。アレンはそんな光景を見つめ、「これが本当の意味での“和解”なのかもしれない」と胸を熱くした。

都市に新たな風が吹き始めるなか、アレンたちはさらに深い協力体制を築き、アルバトロスのエンジンや船体改修に古代技術を取り入れる計画を進めようとしていた。紅蓮のガイウスとの戦いを覚悟しながらも、かつては争いの火種だった秘術を平和のために使える道筋が、光を帯びて見えてきたのだ。

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