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真犯人の影
冷たい冬の朝、陸は署で昨日の鍵の件について再調査を進めていた。怜子の日記に書かれていた「鍵」という言葉が、この事件の重要な手がかりになる可能性があったが、その用途や関連性は未だ不明だった。
「大沢さん、これを見てください。」
片桐悠人が署を訪れ、何かを手に持って陸に差し出した。それは新聞記事の切り抜きだった。記事には、10年前の火災事故に関する新たな証言が掲載されていた。
「これが何だ?」
「10年前の事故に関与した可能性のある人物についての記事です。ここに記載されている名前が気になりました。」
片桐は指をさして、記事中の一人の名前を示した。「中村拓也」という名前だった。
「中村拓也……。こいつは?」
「事故当時、学校の用務員として雇われていた人物です。しかし、火災の直後に姿を消したと書かれています。」