夜明けのペンダント – 第3章: 第1話

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第3章:第1話|第2話

店の外灯が黄昏の影を伸ばす頃、秋山玲は海辺の通りに立つ「星ノ宮宝飾」の前で立ち止まった。ショーウィンドウには煌びやかな宝石が並び、その中にペンダントの欠片が保管されているはずだ。胸ポケットから名刺を取り出し、ドアベルを軽く鳴らす。

「失礼します。私、私立探偵の秋山玲と申します。少々お話を伺えませんでしょうか」

中から現れた店主・星ノ宮辰巳(ほしのみや たつみ、47歳)は、銀縁の眼鏡越しに問いかけるようにこちらを見た。白いシャツに黒のベスト、落ち着いた物腰だ。

「探偵とは珍しい。いったい何を──」

玲は名刺を差し出し、説明を始める。

「“夜明けのペンダント”の欠片をお預かりになったと聞きました。昨夜、旧松永邸の地下室で儀式の名簿を発見し、次の犠牲者として辰巳さんのお名前を目にしました。詳しい経緯を伺いたくて──」

辰巳の表情が一瞬強張る。やがて静かに頷き、店内へと招き入れた。宝飾ケースの明かりが二人を照らし、小さなカウンター席へと導く。

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