古びた手紙の秘密 – 最終話

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アカリは自室の机に向かい、深いため息をついた。祖母とカズマの関係を知ってから、自分自身の心の中で何かが大きく動き出しているのを感じる。祖母の最期の手紙や日記、そしてカズマが語る淡い思い出――それらが織りなす物語を追いかけてきたつもりだったが、いつの間にか自分にとっても無視できない感情が生まれていた。

とはいえ、相手は祖母が愛した人であり、自分よりもかなり年長の男性だ。その事実がアカリの心を戸惑わせる。両親や周囲がどう思うのか、そんな世間の視線を考えるたびに胸が苦しくなる。しかし、祖母の代で終わらせてしまった恋を、今度は自分自身が同じように閉ざしてしまっていいのだろうか。そう考えると、いても立ってもいられない焦りのようなものが込み上げてくる。

夜更け、下階から母の足音が聞こえてきた。どうやらキッチンでお茶を淹れているようだ。アカリは思い切って部屋を出て、リビングへと向かった。台所にいた母は、アカリが入ってくるのを見て「眠れないの?」と声をかける。アカリは小さくうなずき、冷蔵庫から麦茶を取り出してコップに注いだ。

「ねえ、お母さん。私、たぶんカズマさんのことが……その、気になって仕方ないの。」唐突な言葉に母は少し目を見開くが、すぐに微かな笑みを浮かべた。「うすうす感じてはいたけど、本人の口から聞くとまた違うわね。祖母と同じように、周りに気を遣って想いを閉じ込めてしまわないか、正直心配してたわ。」