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共鳴する香り
プレゼンから二週間。町の古い酒蔵跡に設けた仮設スタジオで、リナとタケルはクラウドファンディング用の最終動画を撮影していた。背景には白雪ニンジンの畑の写真、テーブルには母のレシピ帳と種の封筒。カメラの赤いランプが点く。
「こんにちは。私たちは“食の記憶”を守り、未来へつなぐレストラン〈レシピ・デスティーノ〉をこの町で立ち上げます」
リナが笑顔で話し始め、タケルが続ける。
「都会の三つ星より大切な味がここにあります。皆さんの支援で、子どもたちが畑から皿までを体験できるキッチンを作りたい」
撮影が終わると、マミがノートPCの画面を指さした。
「公開ボタンを押すよ。3、2、1——!」
クリックの瞬間、心臓がはじけるように跳ねた。