異世界農業革命 – 第6話

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 エル・リーフ村での農業改革は目に見えて大きく進展していた。土壌改良と魔力の活用を組み合わせた独自の技術によって、かつては枯れ地と呼ばれた畑にも豊かな緑が広がりつつあり、収穫できる作物の量も飛躍的に増えてきた。長く続いた飢えに苦しむ暮らしからようやく解放されるかもしれないという期待に、村人たちは活気を取り戻している。

 しかし、そんな希望が膨らむ頃合いに、思いもよらぬ不安材料が表面化した。周辺地域で魔力の流れが異常に乱れ、「魔力異常災害」と呼ばれる不可解な現象が起こり始めたのだ。はじめは遠くの村で魔物の出現が増えた程度の噂だったが、徐々にその被害が拡大し、ついにはエル・リーフ村にも大きな影響を及ぼし始める。

「どうやら土地の魔力が暴走しているらしい。あちこちで魔物の数が増え、凶暴化しているって話だ。」

 エリアスが村人たちを前に状況を説明すると、皆の顔に不安の色が広がる。近年は魔力の枯渇に悩んでいたはずなのに、今度は逆に暴走が起こるというのだから、誰もが戸惑いを隠せない。

「私も確認したところ、確かに魔力の流れが不自然に乱れています。土の活性化は続けたいんですけど、このままだと大きな災厄に巻き込まれるかもしれません。」

 シルヴィアが言葉を濁す。彼女は以前から魔力浄化の研究をしていたが、今回のような大規模な暴走は前例がなく、対処法も定かではない。

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